関節可動域測定法とは?
関節可動域測定法(以下:ROM‐t)は臨床現場において100%と言っていい程使用される評価です。
これまでに臨床現場で働いた経験があるPTやOTは「測定したことはない」「やり方がわからない」人はいないですよね?
そんなROM‐tですが、大学や専門学校では「参考可動域」という基準を習いますね。その基準をもとに患者様、利用者様に対してアプローチが必要かどうか判断すると思います。
ですが、アプローチするかどうかの判断で「参考可動域」を基準とすると多くの症例で問題となってしまいます。 今回は「可動域」について特に着目して説明したいと思います。
測定上のポイント
・使用目的を明確にしておく
ADLや動作に必要な角度との関係性、痛みの程度の参考にする
・関節可動域制限の原因を検討する
運動麻痺、不動によるものか、筋緊張か、CRPS、中枢性疼痛なのか・・・
・測定肢位はなるべく統一する
姿勢により筋緊張、痛みの影響を受けるため
主なADL・動作課題に必要なROM
それぞれのADLに必要なROMを記載していますが、これでも個々によってまだ異なる場合があります。また、必ず上記の角度が必要というわけではありません。
そもそも改善する見込みがあるのかという事を考えながら、必要であれば作業療法士に相談して自助具を検討することも必要かもしれません。
60~80歳未満の健常者のROM
高齢者は健常であっても、関節可動域は狭い可能性があります。
代表的なところ言うと、肩関節屈曲が「180°」あることは多くないかもしれません。
注意点
今回は「角度」について記載しましたが、そもそも関節可動域を計測するだけでなく原因を考えないといけません。そのためには、自動的な関節可動域(随意的な関節運動)、他動的な関節可動域(検者が他動的に行う他動運動)を行う必要があります。
また、endfeel(最終域感)を確かめながら、痛み、皮膚の癒着、関節包の癒着、筋・腱の短縮、筋緊張の増加、浮腫など何が原因なのか確かめることでアプローチが決定します。
まとめ
ROM‐tの「可動域」ついて記載しました。
ROMを実施する前に「どのような動作獲得を目指しているのか」「そもそもの関節可動域がどの程度あるのか」など考えて評価する必要があります。
みなさんもとりあえず評価するということではなく、目的をもって計測し目指す動作の獲得にはどの程度必要なのかを説明できるようにしておいてくださいね。
また、ROM‐tに関しては「end feel」という重要な要素もあります。
アプローチするうえで重要な指標でもありますのでまた、記事を上げたいと思います。