MTS(Modified Tardieu Scale)とは?
筋緊張検査
中枢神経疾患の方を診る際によく使用する評価で「筋緊張」を評価する検査です。
日本国内では馴染みがまだない検査ですが、欧米を中心として研究報告が多い検査バッテリーです。最近では定量化できるという点もあってか国内でも散見されるようになっています。
MASと異なる点
日本では学生の頃から必ず習う圧倒的に認知度の高い筋緊張の評価バッテリーMAS(Modified Ashworth Scale)があります。では、なぜMTSが散見されるようになってきたのでしょうか?
それは他動運動時の速度や測定肢位が決められていることで神経学的要素と非神経学的要素の2つの視点で評価することが可能であるからです。
これから筋緊張とは何か?MTSの評価方法を説明しますので、どう評価するのか確認していきましょう。
筋緊張とは?
筋緊張は神経学的要素と非神経学的要素の2つに分けられます。
神経学的要素は上位運動ニューロン障害では伸張反射による筋収縮を主とする要素。なかでも痙縮は「持続的で病的な伸張反射の亢進状態」と定義され、神経学的要素の構成要素の主である。
非神経学的要素は神経学的要素以外の要素であり、筋線維や筋膜、腱などの伸張性低下によって生じる。
方法
方法は簡単です。
推奨される測定肢位をとり、検査したい筋を最大短縮位から伸張するだけです。
測定項目は2つあります。
筋の反応の質(QMR)と筋の反応が生じる角度(ROM)です。
この時注意することが筋の伸張速度が決まっているということです。
2つの項目ともにV1とV3の速度で測定することが多いです。
それぞれ評価したい筋を他動的に可動し、筋の反応の質と筋の反応生じる角度を計測します。
解釈
解釈は上記の通りとなります。
・「R2-R1」の値が大きい場合
・QMR2.3.4、特に3または4に該当する場合
➡神経学的要素が大きく、非神経学的要素が小さい
・「R2-R1」の値が小さい場合、R2が小さい場合
・QMR0.1に該当する場合
➡神経学的要素が小さく、非神経学的要素が大きい
という事になりますね。
では、この結果から臨床にどう使うかという事ですが、アプローチと効果判定に使用します。
アプローチ
予後予測
残念ながら筋緊張評価であるMTSで全体像および筋緊張の予後予測は困難なようですね。
それはそうですよね。現時点で筋緊張の予測もできるものではないですし、全体像を把握するにはもっと、多くの評価や全体像を掴むための包括的な評価が必要そうですね。
注意点
・防御性収縮や逃避反射などが生じて筋緊張に影響を与える。
・QMRの3および4はクローヌスの持続時間で評価する。故にクローヌスが生じにくい筋の場合は0~2となる可能性がある。
確かに、痛みが強い患者さんや利用者さんに対して急激な筋の伸張は禁物ですね。使用する場面はしっかり考えて行うようにしましょう!
まとめ
・神経学的要素と非神経学的要素の2つの視点から評価可能
・アプローチにダイレクトに繋げることが可能
・防御性収縮や逃避反射には注意する
今回はMTSを紹介してみました。個人的には学生の頃には知らなかった評価で臨床現場で勉強していくうちに知った評価なのでまだ、知らない人も多いのでは?慣れない評価だと思いますが、MASとROMを合体バージョンと思えば使用しやすのではないかと思います。