リハビリ検査紹介

TUG(Timed up and go test)を実施する時の観察ポイントはここ!

TUG (Timed up and go Test)とは?理学療法評価で使用される理由

立位や歩行能力、動的バランス、敏捷性などを総合的に判断する指標として用いられ、転倒予防や運動器不安定症の評価などに使用されることの多い評価バッテリーです。

椅子からの立ち上がり、歩行、歩行しながらの方向転換、着座のための方向転換、椅子への着座によって構成されています。

非常に簡便な評価として有名で、椅子(背もたれ、肘掛けあり、高さ46㎝)、コーンなどの目印、ストップウォッチのみの準備、また短時間で計測が可能です。

実施方法と注意点

実施方法ですが、前述したとおり非常に簡単です。

椅子から3m程度離れた位置にコーンを置きます。0mの地点に椅子の前脚を設置して、3m地点はコーンの中心とします。

測定者は対象者の身体の一部が動き出すときからお尻が椅子に接地するまでの時間をストップウォッチで計測します。

動作速度は「安全に可能な快適なペース」で計測することが多いと思われます。ですが、「できるだけ速く動作を行なってもらう」方が再現性が高く、より機能低下を明確化できるという報告もあります。

左右両方の方向転換を行ってもらいますが、左右どちらから最初に方向転換を行うかは指定しません。これも評価のポイントです。

・3mという距離では自宅内のADLとの関連付けがしやすいが、屋外歩行を想定すると不十分である。持久性の評価はできていないことも考慮する必要がある。

・「方向転換」では右回り、左回りの両条件を測定することで麻痺側、非麻痺側の差を検証する必要がある。方向転換の方向を指示しないことで、日常生活でどちらの足を内側、外側に使う傾向があるかを観察できる。

結果の解釈とカットオフ値

複雑な評価であるため、単純な時間計測だけでなくどの要素で時間の延長を生み出しているかを観察、分析しなくてはならない。

以下はほんの一例です。

有効性と限界

有効性は、TUGは歩行能力や転倒リスクを評価するために広く用いられており、信頼性や妥当性も高いことが報告されています。

限界は、TUGは単純なテストであるため、歩行速度や歩幅などの詳細な歩行パラメーターを測定できないこと、また、TUG時間だけでは転倒リスクを予測することが難しいことなどが挙げられます。評価として有用なFBSも実施するといいでしょう。

まとめ

TUGとは、立ち上がりから歩行までの動作を測定するテストで、歩行能力や転倒リスクを評価するために理学療法評価で使用される。

実施方法は、椅子に座った状態から立ち上がり、3メートル先の目印まで歩いて戻り、再び椅子に座るまでの時間を計測するというもので、注意点としては動作の質や症状も観察することなどがある。

結果の解釈は、TUG時間が長いほど歩行能力や転倒リスクが低下していると考えられるが、カットオフ値は年齢や疾患によって異なる。また、動作の構成要素ごとにどこが時間の延長しているか分析する必要がある。

有効性は、TUGは信頼性や妥当性が高いテストであるが、限界としては歩行パラメーターを詳細に測定できないことや転倒リスクを予測することが難しいことがある。そのため、FBSなど他の評価ツールと併用することが望ましい。

ABOUT ME
Brainジョージ
男の子2人のパパ。2014年に理学療法士免許を取得。さらに、2019年には脳卒中認定理学療法士の資格も取得する。病院では、回復期、維持期で主に脳卒中や神経難病の患者さん中心に関わる。現在は訪問看護ステーションで働いており、在宅生活を送る利用者さんの生活をサポートする。リハビリテーションに関わる論文の紹介や理学療法の評価方法の解説、そして神経生理学的な内容に特に焦点を当てた脳機能に関する執筆活動を行っている。趣味はお寺や城巡りで、特に国宝である松江城を推し。