リハビリ検査紹介

FBS/BBS(functional balance scale/berg balance scale)の基礎知識と活用法とは?

BBS/FBSとは?

立位課題を中心として、座位、立ち上がり、静止立位(開眼)、静止立位(閉眼)、両足をつけた立位、タンデム肢位、片足立ちと支持基底面を狭くして困難さを増すようにバランス課題を盛り込んだ評価です。

バランス評価に含まれる安定性要素(筋力、静的安定、安定限界、アライメント、姿勢反応、予測的制御、動的安定性、知覚統合、認知機能)のうちアライメント、姿勢反応、認知機能を除く要素を含んだ包括的評価と言えます。安定性要素に関しては記事が出来次第、紹介しますね。

検査に必要な道具は椅子やストップウォッチ、定規だけが必要であり行いやすいと思われます。ただ、全ての検査に必用な時間は20分程度と臨床場面で行うにはやや長いようです。

特徴とポイント

転倒を防ぐ介助を必要とする「0点」から課題を安全に遂行することが可能な「4点」までの5段階評価である。全部で14項目あり56点満点とされています。

基本的には項目1である、「座位」から行いますが、姿勢保持が明らかに問題なければ普段の観察で判断が可能であるためスキップし課題の短縮を行うことが可能なようです。

活用方法と解釈

・予後予測や歩行などのADL自立の判断の評価として活用されることが多い。

・他の評価と組み合わせて、個人の特徴の把握に使用する。(例:10m歩行速度とFBS)

→歩行速度が速く、バランスが不良である場合は運動失調を疑う。麻痺、筋力や関節可動域、感覚鈍麻の場合は歩行速度も低下する。など・・・

以下は解釈の一例である。

上記のような報告がありますが、あくまでも調査対象者は異なります。使用される場合はその属性(年齢や疾患、発症からの時期など)をしっかり把握して参考程度に使用するべきである。普段の様子や注意機能、高次脳機能障害などの観察も行い、関わっている人で意識決定することが推奨されています。

注意点

注意点は以下のようなものがあるようです。

・左右で比較する項目がある際は低い点数を採用する。

・判定基準の「監視下」「安全」の差が検者によって異なる場合がある。

・「床からものを拾う」の項目では得点「2」の「2.5〜5cm」が床からの高さ2,5〜5cmか、つま先から2,5〜5cm先という意味か不明である。

・「継ぎ足立位」の項目で「わずかにずらす」とはどれくらいなのかあらかじめ確認しておく。

・「段差踏み換え」の台の高さの説明がないため、あらかじめ高さを設定しておく。

・天井効果がある。

まとめ

機能的バランス指標であるBBS、FBSは本邦においてもバランスの検査として広く使用されていますね。臨床現場でも1回は使用してみたという人も多いのではないでしょうか。

注意点でも説明したように検者によって判定基準が曖昧な項目もあるため、複数人で判定することや検者を統一するなどの対策が必要です。とはいえ、移動能力やADLとの相関が強いため、自立、非自立に関わる数多くのカットオフが報告されており、非常に役立つ評価バッテリーです。

今回の記事を見て、もう一度FBS/BBSの魅力に気づいた方は実施してみて下さいね。

ABOUT ME
Brainジョージ
男の子2人のパパ。2014年に理学療法士免許を取得。さらに、2019年には脳卒中認定理学療法士の資格も取得する。病院では、回復期、維持期で主に脳卒中や神経難病の患者さん中心に関わる。現在は訪問看護ステーションで働いており、在宅生活を送る利用者さんの生活をサポートする。リハビリテーションに関わる論文の紹介や理学療法の評価方法の解説、そして神経生理学的な内容に特に焦点を当てた脳機能に関する執筆活動を行っている。趣味はお寺や城巡りで、特に国宝である松江城を推し。