今回は、まちの歩行分析室ARUKUを運営するにあたって、私たちが大事にしている理念について、ご紹介していきたいと思います。
誰でも気軽に自分自身の歩き方についてチェックをしてもらえるサービスを提供したい
・私たち理学療法士の専門性は「動作分析」が出来ること。それは前半部分で紹介しました。
・「動作分析」が出来るからこそ、動けなくなった患者さんから現役のスポーツアスリートまで、「身体の動き」に対して様々なアドバイスが出来るということです。
・理学療法士と聞いたことはあっても、なかなか普段の生活ではなじみが無い方も多いと思います。特別な「リハビリ」が必要でない健常者においては、さらに理学療法士と関わる機会なんてほぼ無いのではないでしょうか?
・私たち理学療法士はそのことをもっと自覚して、社会に対してアピールする必要があると思っています。
・病気になって入院してから、身体が動けなくなってから、ようやく理学療法士という専門職と出会いそこで初めてリハビリを受けて知った、ということではなくて、もっと身近な日常の中でその存在を知ってもらいたいという思いがあって、この「まちの歩行分析室ARUKU」が出来ました。
・健常者に対して出来ることは何かないか?、そう考えた際に、「歩き方」についてチェックするサービスを思いつきました。
歩行分析で得られた結果は個々に異なるため、その後の運動方法まで一貫してお伝えして介護予防に繋げる
・普段から何気なくしている「歩行」ですが、10人いれば10人ともに異なるのがその「歩き方」だと思います。
・理学療法士はその専門性である「動作分析」のスキルを活かして、個々に異なる「歩き方」を目で見てチェックすることが出来ます。(*本当の意味で分析するためには、目で見るだけではなく、実際に触ったり動かしたりすることが必要です)
・歩行とは、重心移動の連続であり、足が接地して体重を支持し、次に地面を蹴り出して足を前に振り出す、といった様々な周期を繰り返します。
・こういった各歩行周期ごとで起きている特徴を捉えて、
- もっと歩幅を増やすためにはどうしたら良いか?
- 膝や腰の痛みを減らすにはどうしたら良いか?
- 転倒しないように歩くためにはどうしたら良いか?etc.
・個々の歩き方の特徴と踏まえて、「どのような運動をすれば良いのか?」という予防の観点からアドバイスをすることが出来ます。
・普段からウォーキングを意識してしている方にとっては、より効率的な歩き方を知ることが出来るし、
・普段は特に運動をしない方にとっては、これを機に運動してみようというきっかけになるかもしれません。
・いずれにしても「歩く」ということが介護予防に有効であり、さらには「いつまでも元気な体を維持したい」という健康寿命にも大きく繋がる部分だと思います。
理学療法士は選ばれる時代に変わっていく
・ここは完全におまけパートです。
・理学療法士はリハビリテーションに関わる職種で、今後も重要な仕事だとは思いますが、毎年のように資格を取得する理学療法士が非常に多くなっているのも事実です。
・会員のほとんどが20~30歳代で、毎年10,000人の理学療法士が誕生し、資格者数および協会会員数は右肩上がりに増えています。
・これによって今後何が起こるかというと、いわゆるリハビリテーションの供給過多が危惧されています。
・厚生労働省の調査で、需要の推計をケース1~3と取っていますが5年後にはいずれも供給が追い越すというシミュレーション結果となっています。
・つまりは、リハビリテーションが必要な数<理学療法士の数となり、理学療法士は患者さんや利用者さんおよびその家族等から「選ばれる」時代になると思われます。
・その中で、まちの歩行分析室ARUKUでは歩行分析という理学療法士の専門性の主となる部分を取り上げて、日々勉強し精進していくための施設とも言えます。動作分析をサボらずに正面から向き合っていく、そんな理学療法士を応援し、理学療法の質を向上させるように取り組んでいきたいと思います。