この記事では、2022年(令和4年度)診療報酬改定の中でも訪問看護に関わる主な改定項目を13項目取り上げてご紹介します。
*2022年3月16日時点
①複数の訪問看護ステーションによる時間対応体制の見直し
②業務継続に向けた取組強化の推進
③機能強化型訪問看護ステーションの見直し
④医療的ケア児等に対する訪問看護に係る関係機関の連携強化
⑤訪問看護指示書の記載欄の見直し
⑥専門性の高い看護師による同行訪問の見直し
⑦専門性の高い看護師による訪問看護における専門的な管理の評価の新設
⑧訪問看護における特定行為の手順書の交付に係る評価の新設
⑨退院日のターミナルケアの見直し
⑩複数名訪問看護加算の見直し
⑪医療的ニーズの高い利用者の退院支援の見直し
⑫同一建物居住者に対する訪問看護に係る評価区分の見直し
⑬ICT を活用した遠隔死亡診断の補助に対する評価の新設
①複数の訪問看護ステーションによる時間対応体制の見直し
24時間対応体制加算(訪問看護管理療養費)算定要件の変更
複数の訪問看護ステーションが連携することで24 時間対応体制加算を算定できる場合の要件について、業務継続計画(BCP)を策定した上で、自治体や医療関係団体等が整備する地域の連携体制に参画している場合を追加する。
②業務継続に向けた取組強化の推進
指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の一部を改正
訪問看護ステーションにおける業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務化する。
(経過措置2年)
介護報酬改定に合わせる形になっています。
③機能強化型訪問看護ステーションの見直し
機能強化型訪問看護管理療養費1・2(訪問看護管理療養費)の算定要件及び評価の見直し。
改定前 改定後
機能強化型訪問看護管理療養費1 : 12,530円 → 12,830円
機能強化型訪問看護管理療養費2 : 9,500円 → 9,800円
<施設基準の追加>
地域の保険医療機関、訪問看護ステーション又は住民等に対する研修や相談への対応について実績があること。
(経過措置 6か月)
機能強化型訪問看護管理療養費1から3までの要件において、在宅看護等に係る専門の研修を受けた看護師が配置されていることが望ましい。
④医療的ケア児等に対する訪問看護に係る関係機関の連携強化
訪問看護情報提供療養費1における情報提供先に指定特定相談支援事業者及び指定障害児相談支援事業者を追加するとともに、対象となる利用者の範囲を見直す。
<対象となる利用者の範囲>
15歳未満の小児 → 18歳未満の児童
児童福祉法第39条第1項に規定する保育所又は学校教育法第1条に規定する学校(大学を除く。)等へ通園又は通学する利用者
⑤訪問看護指示書の記載欄の見直し
令和3年度介護報酬改定で、理学療法士等の訪問看護の時間及び実施頻度等を訪問看護指示書に記載することとしたことを踏まえ、医療保険制度においても同様の対応を行う。
指示書の中の注釈が無くなり、介護保険と同様に医療保険においても職種・時間・頻度の記載が必要になります。
⑥専門性の高い看護師による同行訪問の見直し
専門性の高い看護師による同行訪問について、褥瘡ケアに係る専門の研修を受けた看護師として、特定行為研修修了者(創傷管理関連)を追加する。
⑦専門性の高い看護師による訪問看護における専門的な管理の評価の新設
訪問看護管理療養費の加算
専門管理加算として、月1回 2,500円
緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師が計画的な管理を行った場合
または、
特定行為研修を修了した看護師が計画的な管理を行った場合
(指示医が手順書加算を算定する利用者に対して行った場合に限る)
⑧訪問看護における特定行為の手順書の交付に係る評価の新設
訪問看護ステーション等の看護師に対して、医師が特定行為の実施に係る手順書を交付した場合の評価を新設する
特定行為の必要を認め、当該患者の同意を得て当該患者の選定する訪問看護ステーション等の看護師(同項第5号に規定する指定研修機関において行われる研修を修了した者に限る。)に対して、同項第2号に規定する手順書を交付した場合は、手順書加算として、患者1人につき6月に1回に限り150点を所定点数に加算する。
⑨退院日のターミナルケアの見直し
在宅での看取りに係る評価を拡充する観点
訪問看護ターミナルケア療養費の算定要件緩和
死亡日及び死亡日前14 日以内に2回以上実施することとされている訪問看護について、退院日の退院支援指導を含めて判断できることとする。
⑩複数名訪問看護加算の見直し
複数名訪問看護加算(複数名訪問看護・指導加算)における看護補助者が同行する場合の加算について、看護師等が同行する場合も算定可能とする。
看護師等が同行でも週3日算定可能?
⑪医療的ニーズの高い利用者の退院支援の見直し
退院日に看護師等が長時間の退院支援指導を行った場合の評価を新設
退院支援指導加算(訪問看護管理療養費)
通常 6,000円
長時間の場合 8,400円
⑫同一建物居住者に対する訪問看護に係る評価区分の見直し
訪問看護において同一建物内の利用者の人数に応じた評価区分を設けている加算について、同じ金額の評価区分を統合する。
⑬ICT を活用した遠隔死亡診断の補助に対する評価の新設
医師が行う死亡診断等について、ICT を活用した在宅での看取りに関する研修を受けた看護師が補助した場合の評価
訪問看護ターミナルケア療養費に遠隔死亡診断補助加算を新設する。
遠隔死亡診断補助加算 1,500円
*ただし、まだ地域は限定的
今回は、2022年(令和4年度)診療報酬改定の中でも訪問看護に関わる主な改定項目を13項目取り上げてご紹介しました。
またQ&Aが出たりすれば情報を更新していきたいと思います。