この記事では、「歩く」際に重要な様々な機能のうち、筋に関することを紹介する記事となっています。
専門的な難しい内容ではなく、トレーニングに興味のある方やPTの学生さんなど、一般の方でも分かりやすく理解できるように努めています。
そういった観点から表現の仕方を工夫していますので、より専門的な方からのご指摘・ご批判は承っておりませんのであしからずご了承ください。
前脛骨筋(ぜんけいこつきん)って、どんな筋肉?
脛(すね)のことを脛骨(けいこつ)と言いますが、その脛骨の前側にある筋肉のため、前脛骨筋と呼ばれています。
この前脛骨筋は「つま先を挙げる」という、足首を動かすとても重要な筋肉です。他に同じ機能をもつ筋肉がほぼ無いので貴重であり、この筋肉に障がいをもたらす病気として有名なものが「脳梗塞」だったり「腰椎椎間板ヘルニア」だったりします。
歩く中での機能
歩く中で、どんな働きがあるか?
歩く中では、足が地面に着いた直後の時期(立脚初期)と、足を振り出す地面から浮いている時期(遊脚期)の2つの時期でいずれも重要な働きがあります。
そもそも足が地面に着く際は「かかと」から接地します。そして、その後に「足の裏全体」が着くようになるのですが、このかかとが着いてから足の裏全体が着くまでの間に、前脛骨筋は働きます。
この際の働きは、体重が勢いよくかかり過ぎないようにするための「ブレーキ作用」です。この前脛骨筋とハムストリングスと大腿四頭筋によって、足が地面に着いた後の衝撃を緩和させることが出来ます。
前脛骨筋が上手く働かなくなる場合、この作用が失われるため、「膝折れ」を起こすことになります。体重をかけた際に膝がカクっとなってしまい踏ん張れない状態のことです。
もう1つ、重要な働きとして、遊脚期での足クリアランスの確保です。
なにやら難しい言葉が並びますが、
遊脚期=足が地面から浮いている、振り出している時期のこと
クリアランス=地面とつま先のあいだの距離のこと
となります。
要は、前脛骨筋がつま先を挙げることによって、地面に引っかからないようにしている、ということです。
この筋肉が働かなくなると、歩くときにどうなる?
前脛骨筋が上手く働かなくなる場合、この作用が失われるため、「足の引っかかり」を起こすことになります。足が地面に引っかかると転倒に繋がってしまうため、この部分を見ておくことも重要になります。
主なトレーニング方法やサポーター用品
主なトレーニング方法は以下の通りです。
また、一般的に足の装具と言えば、下垂足(かすいそく)か尖足(せんそく)を予防するための目的が多いですが、その中で腰椎椎間板ヘルニアなどの末梢神経損傷によって前脛骨筋が働かなくなった場合は下垂足(かすいそく)と呼ばれます。
下垂足を呈す方の場合は、オルトップという名前の装具がよく使われていると思います。
装具に関してはまた別のカテゴリーにもまとめていきますので、ご参照頂ければと思います。