今回は、まだ歴史的には浅いリハビリテーション分野における変化とその社会的な背景も含めて個人的な見解を述べていきたいと思います。
疾患別リハビリテーションの導入
2年ごとに行われる診療報酬改定の項目の中で、リハビリテーションに関する項目は改定のたびに目まぐるしくルールが変わってきています。
2006年度改定では「疾患別リハビリテーション」という、それ以前の基本体系を大きく覆す概念が導入されました。
この当時、私は理学療法士免許を取得して1年目でしたが、各新聞などの大きな見出しで「リハビリテーション難民」という言葉が取り上げられていたのを今でも覚えています。
なぜ、「リハビリテーション難民」なのか?
この改定以前では、リハビリテーションの主に物理療法(牽引やホットパック、低周波など)に幾年も通う高齢者の姿がたくさん見かけられました。私も病院への実習では、この物理療法のお手伝いをよくしていたことを覚えています。医療保険を使って、こういった物理療法中心のリハビリテーションを何年も通い続けられるという状態で、朝からこのリハビリを受けるために高齢者が病院の外来受付に大勢並ぶという光景が当時はあちこちでよく見られました。
それが、2006年度の改定で「疾患別リハビリテーション」が新たにできて、疾患によって受けられるリハビリテーション期間に上限が設けられることになりました。
リハビリテーションの「期限」は今では当たり前のように言われていますが、この当時は大変な社会問題と課しました。リハビリテーションが受けられる期限が出来るということは、これまで長年通い続けられてきた場所が無くなる、ということで、当事者からすればリハビリを受けられなくなるという思いもあったのだと思われます。
そんな声が大きくなって、リハビリテーション難民という言葉が言われるようになりました。
保険内でのリハビリテーション
2022年現在において、リハビリテーションを受けることができる場所は主に、
・急性期病院
・回復期病院
・介護医療院
・診療所やクリニック
・デイケア(老健など)
・訪問リハビリ
・その他外来リハなど
が挙げられます。
病院の形態等によって、リハビリテーションを受けられる時間や期間などが異なります。いずれにおいても医療保険や介護保険の中では、このリハビリを受けられる時間や期間が今以上に増えることはなかなか考えられにくく、徐々に削られる方向にあります。
(回復期病院ではリハビリが集中して行われますが、それでも1日最大3時間まで、180日が入院日数上限となります)
また、リハビリテーションは主には20分を1単位として、2単位(40分)や3単位(60分)で実施されることが多いのですが、この1単位あたりにかかるお金がどんどん下がっています。医療費や介護給付費削減(増加抑制)の一環を受けています。
患者さんなどリハビリを利用する側からすれば支払うお金は少なくなりますが、病院や事業所などの側になると売上減少に繋がります。入院(入所)して集中的にリハビリを行える回復期病院やデイケアなどはさておき、外来リハや訪問リハはなかなか規模を大きく出来ないのが現状です。
保険外でのリハビリテーション
リハビリテーション難民という声も大きくある一方で、保険適用(医療保険や介護保険)内で受けられるリハビリテーションが縮小傾向にならざるを得ない中で、保険外のリハビリテーションを行う事業所も増えてきました。
自費(自称)リハビリとされる保険外でのリハビリテーションは全額自己負担のため、患者さん側が時間や頻度などをオーダーメイド出来る仕組みがあったりするようです。
保険の中で受けられるリハビリテーションは色々と制限があったりする中で、その期限を過ぎた方は基本的には自分でリハビリテーションを自己流で継続するしかありません。
その中で全額を自己負担とする保険外でのリハビリテーションを選択すればその後も継続することが出来るようになりそうです。
こんな理学療法士は要注意!!
自費(自称)リハビリが増えてきている中で、ではどんな理学療法士にお願いすれば良いのでしょうか?
ひとことで言えば、
「科学的根拠に基づいた説明をしっかりと行える、法人化した組織で動いていて、SNSフォロワー数の多さではなく実際の口コミや評判の良い理学療法士」、ということになります。
詳細は次の記事にまとめていますので、そちらもご参照ください。