この記事では、「歩く」際に重要な様々な機能のうち、筋に関することを紹介する記事となっています。
専門的な難しい内容ではなく、トレーニングに興味のある方やPTの学生さんなど、一般の方でも分かりやすく理解できるように努めています。
そういった観点から表現の仕方を工夫していますので、より専門的な方からのご指摘・ご批判は承っておりませんのであしからずご了承ください。
ハムストリングスって、どんな筋肉?
このハムストリングスという筋肉は、3つの筋肉から構成されています。
・内側ハムストリング(半腱様筋、半膜様筋)
・外側ハムストリング(大腿二頭筋)
の3つの筋肉が合わさってハムストリングスと呼ばれています。
ちなみにこのハムストリングスですが、膝関節と股関節の両方にまたがるため、二関節筋(主には関節の安定・姿勢の制御に関わる)となります。膝や股関節は立ったり歩いたりする中で体重がほぼすべてかかる関節であり、それを支えたり動きを調整してスムーズにしたりなど、とても重要な筋肉になります。
立ち上がりや歩行や階段昇降などの動作がすべてスムーズに、滑らかに行えるのは、このハムストリングスがしっかりと働いているからに他なりません。
足がつかないくらい高い椅子に座っている際にも、ハムストリングスが上手く働くために座位が安定して保てます。
要は、このハムストリングスが硬くなったり筋力が低下したりすると、動きがぎこちなくなったりバランスが悪くなったり姿勢が悪くなったりするということです。
歩く中での機能
歩く中で、どんな働きがあるか?
日常生活の様々な場面で活躍するこのハムストリングスという筋肉は、歩く中では「筋力」としても、「柔軟性」としても非常に重要になります。
まず「筋力」としては、
・歩く際のブレーキ作用
・立って体重を支える際に、膝がガクガクしないように調整する作用
・同じく歩く際やランニングの際に蹴りだされた足を前に引きつける作用
が挙げられます。
このハムストリングスが上手く作用することで、スムーズな膝の運動が可能になり、歩く際に重心が上下にブレにくくなります。
この筋肉が働かなくなると、歩くときにどうなる?
ハムストリングスが働かなくなると、歩く中で以下のような現象が起きます。
・足が地面についた際に膝がカクンとぎこちない動きになります。ひどい場合は膝折れして踏ん張れなくなり、転倒してしまいます。
・蹴り出された足が前に振り出す際に、歩幅を大きく出来なかったり、地面に足が擦るようになります。
いずれも歩行の安全性や効率性が低下してしまうので、歩行速度が遅くなり、長距離や長時間の歩行も難しくなってきます。
あと、筋力以上に重要なのが「柔軟性」の部分です。
このハムストリングスの柔軟性が低下する(筋肉が硬くなってしまう)と、日常生活の中で多い座る・立つ姿勢に影響して、腰痛をはじめとした身体の不調の原因に繋がります。
ちょうど、上記の図のような猫背の姿勢になります。
この姿勢をとっていると、
・腰痛になりやすい
・歩幅が広がりにくい
・歩く際につま足が引っかかりやすい
こういった現象が起きやすくなります。
主なトレーニング方法やサポーター用品
このハムストリングスをしっかりとストレッチして柔らかくしておくことで、猫背の姿勢から背骨を伸ばすことができ、上記の予防に繋がります。
腰痛のある方は、総じてこのハムストリングスが硬い(柔軟性が低い)ことがほとんどです。しっかりとストレッチに励みましょう。
トレーニング方法とプチ情報
またスポーツ選手等でよく起こる前十字靭帯損傷など、膝の重要な靭帯が傷んだ際にも、このハムストリングスを鍛えることで靭帯の機能を代償することができます。
さいごにプチ情報を1つだけ。
このハムストリングスという名称は、俗にいう食べ物の「ハム」とほぼ同義です。
ソーセージやハムの、ハムですね。
食べ物のハムは、豚のもも肉を使用しており、ハムストリングスの頭をとってハムと呼ばれるようになったそうです。