リハビリテーション

健康寿命に効果的な歩き方とは?

日本の平均寿命は毎年伸びていて、そのたびに「健康寿命」の重要さに対してもフォーカスされます。

関連資料:理学療法ハンドブック1「健康寿命」より抜粋

日常生活に制限のある要介護状態になるべくならないように、「健康寿命」という言葉とともにそれに向けた取り組みも様々行われています。

”自分の足で歩けること”

そのために、歩くこと自体も運動になります。もちろんダラダラ歩いていても運動にはなりませんが、効果的な運動として歩行を行う際に重要なポイントを簡単にご紹介いたします。

平均寿命だけでなく、健康寿命をなるべく伸ばすことを意識して、元気に歩ける身体づくりに努めましょう。

歩く時に意識すること

1.姿勢を意識しよう

子どもの頃に、「姿勢良く歩きなさい」と言われたことはありませんか?

歩く時の「良い姿勢」とはどういった姿勢なのか。運動を目的とした歩行の良い姿勢とは背筋が伸びてしっかり腕を触れている状態のことです。背筋を伸ばすというと胸を張るイメージの方もいらっしゃいますが、背中が反った状態は腰への負担が大きくお勧めできません。

胸を張るのではなく、胸を「持ち上げる」イメージ、つまり「糸で頭を上から引っ張られている感覚」が近い表現になります。 胸を持ち上げて少しだけ腹筋に力を入れると背筋がまっすぐになります。

お尻の穴を締める感じで力を入れると軽くお腹に力が入るので、腹筋に力を入れるイメージが難しい人はお尻を意識しましょう。

上記のような姿勢がとりづらい方もいるかと思います。歩き方というのは1人1人違っていて当然ですし、何をもって「良い」とするかも1人1人異なります。あくまで「運動」を主として考えた際には、上記のような姿勢が良いとされています。

2.早歩きを意識しよう

同じ歩くという動作でもその速度によって運動強度には大きな違いがあります。

METs(メッツ)という運動強度の指標(1METsは座っている時のエネルギー消費のこと)で見てみるとゆっくり歩くこと(0.8m/s未満)の運動強度は2.0METsであるのに対し、早く歩く(1.5m/s)ことの運動強度は4.3METsもあります[1]。

少し早く歩くことを意識するだけで運動強度は2倍になります。折角なので早く歩くことを意識しましょう。

ちなみに年代・男女別の通常歩行速度は下記の通り。

60歳未満の平均は1.2m/sなので、1.5m/sというと少しだけ意識して早歩きしてみる、という感じだと思います。ちなみに60歳以降の方は無理して早歩きをしてしまうとバランスが悪くなることもありますので、あくまで参考程度にして個々の身体能力に合わせることが重要です。

3.少しだけ歩幅を広げよう

「大股で歩くとダイエットにいい」と聞いたことはありませんか?大股で歩くと普段歩く時に意識していない腓腹筋(後ろ足の蹴り)や腸腰筋(太ももを上持ち上げる)を意識して歩くことになります。

また大股で歩くとバランスを取るためにゆっくり歩くよりも腕もふる必要があり、全身運動になり、より健康に良い歩き方になります。

ただ、歩幅をとにかく広くすることを意識すると歩く時のバランスが悪くなり、股関節などを痛めてしまう可能性があります。歩幅を広げるのは足1つ分くらいにしておきましょう。

健康のためには普段からどのくらい歩けば良いの?

1日にどれくらい歩けば

ではどのくらい歩く必要があるのか?健康であることを「生活習慣病を予防する」と置き換えた場合、1日に必要な歩数は8000歩です。

しかし、低強度(3METs以下)の運動だけでは病気を予防する効果はありません。生活習慣病を予防するためには1日の間で20分の中強度(METs 3-6)の運動が必要です[2]。

前述の早く歩くこと(4.3METs)は中強度の運動になるので、1日8000歩を目標とし、そのうち20分間は早く歩くことを意識しましょう。

*8000歩まで歩けなかったとしても、下記のような効果は見込まれるとされています。

6000歩程度歩けた・・・認知症予防や介護予防につながる

4000歩程度歩けた・・・気分が晴れて元気な気持ちになる

なるべく自分のペースで続けることが重要だと思います。

健康に効果的な歩き方が出来ているか?を確認する

iPhoneなどのスマートフォンには歩数を記録する機能が備わっているので自分がどのくらい歩いているかを毎日確認しましょう。機種によっては歩幅や歩行速度も記録する機能があるので確認できる人はそちらも確認しましょう。

しかし、スマートフォンで測る歩数や歩行速度の精度は不明瞭です。いまいち出てきた数値が信頼できず、確認すること自体をやめてしまう人も多いのではないでしょうか?

リハビリテーションの分野では歩行リハビリテーションの効果を確認する際にウェアラブルな歩行器・加速度センサーが用いられます。AYUMI-EYEもその1つで、とても簡易的に上記のような測定が行え、結果をレポートしてくれます。

また、きちんとした専門職(理学療法士など)に教えてもらいたい、という方は、下記のような施設で歩行に関するアドバイスなどをもらうことも出来ます。

まとめ

今回は「健康寿命」に繋げるために意識して欲しい歩き方についてご紹介しました。

なるべく自分の足で歩く機能は維持したい、と言う方はほとんどの方に当てはまることかと思います。日常生活の中で行っている歩行を、少し意識するだけで運動としての効果は飛躍的に上がりますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

(参考文献)

[1]2012年 改訂版 「身体活動のメッツ(METs表)」国立健康・栄養研究所

[2]青栁幸利. 中之条研究. 医学のあゆみ. 253. 9. 2015

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リハビリテーションの専門職である理学療法士による歩行分析のサービスで、1人1人異なる歩き方を分析しその方に合った歩き方や運動方法についてアドバイスいたします。

今回の記事のような健康寿命にも繋がる部分ですので、いざ病気やけがをする前に理学療法士の指導を受けてみませんか?

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ABOUT ME
ARUKU室長
大阪府出身。理学療法士、NPO Re Step理事。2007年に理学療法士国家資格を取得後、急性期・回復期・生活期でのリハビリテーション・理学療法の経験を経て現在に至る。「ARUKU=歩く」姿勢や動作の分析を得意とし、さらに一歩進める/もう一度一歩進むための、医療や介護に関する様々な活動を実践中。リハビリ・看護・介護の総合情報サイトを立ち上げ、多種多様なブロガーとともに多岐にわたる分野の記事を執筆中!