日々の生活や人間関係の中で、「周りの期待に応えようと無理をして疲れてしまう」「自分らしさが分からなくなってしまった」と感じることはありませんか?
心理学の知見を手がかりに、無理なく自分自身と向き合い、前向きに生きるためのステップをお届けします。
周囲に合わせすぎて「自分」を見失っていませんか?
職場や家庭、SNSなど、社会の中で生きていると、評価や他者の視線から完全に自由になることは容易ではありません。
周囲の期待に応えようとするうちに、「良い人に見られたい」「優秀に見られたい」という気持ちばかりが先行し、気づけば本当の自分がどこにいるのか分からなくなってしまうことがあります。
ユング心理学では、社会的な役割を果たすために身につけた顔をペルソナ(仮面)と呼びます。
ペルソナは社会生活を円滑にするために必要な装置ですが、それと一体化しすぎると、本来の自分自身が埋もれてしまい、息苦しさや疲弊の原因になります。
なぜ苦しくなるのか?「評価」と「受容」の違い
人間関係で心が疲弊してしまう大きな要因の一つは、他者からの評価を自分の価値そのものと混同してしまうことにあります。
アドラー心理学では、肯定や否定といった物差しで自分を評価する「自己肯定感」に対し、あるがままの自分を受け入れる姿勢を自己受容と位置づけています。
他者からの評価は主観的で気まぐれなものであり、他者の期待を満たすために生きようとすると心は満たされません。
そのため、アドラー心理学では他者と自分を比べる競争を手放し、「自分の課題と他者の課題を分離」したうえで、過去の自分や「理想の自分」と比較して向上を目指す姿勢が説かれています。
また、自己受容の心理学的研究においても、自己受容とは単なる諦めではなく、自分の弱さや欠点を素直に認め、客観的に距離を置いて受け止める過程であると示されています。
心と向き合うための実践「書く瞑想(ジャーナリング)」
では、ペルソナの奥にある本来の自分に気づき、自己受容を育むにはどうすればよいのでしょうか。
その有効な手段の一つが、自分の思考や感情をノートにありのまま書き出すジャーナリング(書く瞑想)です。
- 思考や感情を紙に書き出す
5分〜15分ほど時間を決め、頭に浮かんだ感情や出来事を誤字脱字も気にせず書き殴ります。 - 自動思考と客観的な距離をとる(メタ認知)
認知行動療法でも用いられるように、書き出して可視化することで、「自分は今、失敗を恐れて極端な考え方(自動思考)に陥っている」と一段高い視点から自分を観察するメタ認知的モニタリングが働きます。 - 影(シャドウ)や欠点を柔らかく捉え直す(リフレーミング)
ユング心理学では、怒りや嫉妬、劣等感といった見たくない自分を「シャドウ(影)」と呼び、これを受け入れることが自己の統合に不可欠だとされます。
自分の弱さやネガティブな感情を排除せず、「慎重さの裏返しではないか」「別の場面で活かせるのではないか」と多角的な視点からリフレーミングすることで、感情の浄化と新たな気づきが得られます。
自分比で歩み、他者とつながる人生へ
自分と向き合い、ありのままを受け入れることは、決してそこで歩みを止めることではありません。
アドラー心理学が示すように、自分で自分を認める「自己受容」ができて初めて、周囲の人々を仲間として信頼し、貢献しようとする共同体感覚へと意識を広げることができます。
他人の敷いたレールや評価に振り回される必要はありません。日々の小さな感情を丁寧に拾い上げながら、昨日の自分よりも一歩進んだ「自分比の成長」を大切に重ねていきましょう。
