筋肉の働き

体幹の筋肉~腹筋群の機能~

この記事では、身体の中に存在する様々な「筋肉」について紹介する記事となっています。

専門的な難しい内容ではなく、トレーニングに興味のある方やPTの学生さんなど、一般の方でも分かりやすく理解できるように努めています。

そういった観点から表現の仕方を工夫していますので、より専門的な方からのご指摘・ご批判は承っておりませんのであしからずご了承ください。

腹筋群(ふっきんぐん)って、どんな筋肉?

腹筋というと世間一般的にはイメージできるかと思いますが、

正確に言うと、「腹筋」という名称の筋肉はありません。

お腹の筋肉が割れる、という一番イメージしやすい腹筋を、腹直筋と言います。

その他に、

お腹の横側にある、外/内腹斜筋、腹横筋が主な筋肉となります。

<様々な種類の腹筋>

これら併せて腹筋群と言いますが、この腹筋群の重要な役割ですが、

①運動の起点となる固定作用

②呼吸運動(主に意識して息を吐く)の主となる作用

の2つに分けられると思います。

①運動の起点

腹筋群は身体の中央付近にあるため、手足や首の運動を起こすための起点になります。

要は、腹筋群が働かないと、起点が無くなる→体幹が固定できない→手足や首が思うように動かなくなる、ということです。

私たちは腹筋群をしっかりと働かせることで、手足や首がブレずに正確に動かせるようになります。

腹筋群が働かないと、タコみたいにぐにゃぐにゃとした動きになってしまいます。

ダイエットの場面でよく腹筋を鍛えないといけない、とも思われがちですが、痩せる(体重を減らす)ためには腹筋よりも有酸素運動が一番です。ウエストを細くしたいのであれば、腹筋も有効ですが、腹斜筋や腹横筋などの横側の筋肉を鍛えた方がその効果は高まります。

腹筋を鍛えるべき人はどういう人かというと、まずは慢性的に腰が痛くなる人です。座っている時間が長いとか、立ち仕事をする・重い物を運ぶなどが多い人ですね。

背筋は恒常的に力が入りやすい筋肉のため、よほどのアスリートでない限り、わざわざ背筋を鍛えることはありませんが、腹筋は意識しないと力が入りません。この腹筋と背筋のバランスが崩れてしまい、「腰痛」という症状が出ている人が多いと思います。

「腰痛」を自覚されている方の中には猫背の姿勢を取りやすい場合があります。こういった方はたとえ「腰痛」自覚されていなくても腹筋の筋トレやハムストリングス(ももの後ろ側)のストレッチが重要になります。

②呼吸運動

「運動の起点」という役割のほかに、「呼吸運動」においても腹筋は大きな役割を担います。【腹横筋・腹斜筋】②についてとなります。

お腹に力を入れる際には、自然と息が止まりますよね?

そうです。

腹筋の収縮と呼吸運動は密接に関係しあっています。

上記の図のように、

息を吸い込む際には、肋骨が広がり、横隔膜が下がり(収縮し)、結果的に肺が広がります。

息を吐く際は自然に出来ますが、さらに息を吐こうとすれば、肋骨(胸骨)を下げて肺の容量をさらに少なくします。

この、「肋骨や胸骨を下げる」という働きが腹筋群にはあります。

つまり、息を頑張って吐くこと自体が、腹筋のトレーニングになります。腹式呼吸ですね。

あと、腹圧という言葉も聞いたことがあるかもしれません。

咳をする際には腹圧が高まるとか、排便でいきんだ際に腹圧がかかるとか。

上記が腹圧が高い/低いの図になりますが、詳しく説明すると、

上側にある横隔膜と、後ろ側にある背骨と、下側にある骨盤底筋が

前側にある腹直筋、左右横にある腹斜筋・腹横筋が、

それぞれの内側方向へ収縮することで腹圧を高めることができます。

上記の腹圧が低い例では、横隔膜が上に上がって緩んでいる、また腹直筋も緩んでお腹が前に出ている、ということで腹圧が上側や前側に逃げてしまい、結果的に腹圧が下がっているということになります。

他にも、背中がすごく曲がった高齢者の方では、背骨が本来の位置よりも後ろへ弯曲(わんきょく=曲がること)するため腹圧は後ろ側へ逃げやすく、腹圧が下がりやすいという状態になります。また出産直後は骨盤底筋が緩みやすく、腹圧が下側へ逃げやすいため腹圧がかかりにくくなります。

健常な方であれば、息を止め(横隔膜を固定し)、お腹に力を入れる(腹筋が収縮する)ことで自然と腹圧が高まります。

腹筋を鍛える際には、呼吸を止めるとか、思い切り息を吐き続けるとか、そういった要素も関係します。

血圧が高い方や、呼吸症状がある方などは無理のない範囲で気をつける必要があります。

主なトレーニング方法

腹筋の鍛え方・筋トレの仕方は色々とあります。

ここでは運動負荷の異なる2種類の方法を紹介いたします。

ドローイン

運動負荷:とても軽い
運動効果:繰り返し行うことが重要、すべての身体パフォーマンス場面で応用できる

両足上げ

運動負荷:やや高い
運動効果:腹圧を高めることに効果的
注意点:腰が痛くならないように

さいごに

いかがだったでしょうか?

いわゆる腹筋と言っても様々な種類の筋肉があり、腹筋群と総称されることも多いです。

腹筋は手足/首の動きや呼吸運動に重要な役割があり、生きていくためには必要不可欠な筋肉でもあります。

専門的な難しい内容ではなく、トレーニングに興味のある方やPTの学生さんなど、一般の方でも分かりやすく書いたつもりですので、少しでも理解を深められれば幸いです。

ABOUT ME
ARUKU室長
大阪府出身。理学療法士、NPO Re Step理事。2007年に理学療法士国家資格を取得後、急性期・回復期・生活期でのリハビリテーション・理学療法の経験を経て現在に至る。「ARUKU=歩く」姿勢や動作の分析を得意とし、さらに一歩進める/もう一度一歩進むための、医療や介護に関する様々な活動を実践中。リハビリ・看護・介護の総合情報サイトを立ち上げ、多種多様なブロガーとともに多岐にわたる分野の記事を執筆中!