本の紹介
- ビジネスコンサルタント細谷 功さんが書かれた本です。
- 「具体と抽象」の本は、他にもたくさん出版されていますが、
- こちらの本はイラストや色使いが鮮やかで、とても読みやすくておすすめです。
具体と抽象とは?
- 下の例にある様に、「抽象」は大分類に値する「野菜」。
- 反対に「具体」とは、小分類に当たる「人参」や「きゅうり」といったものです。
抽象概念の表現メリット
先生「今日はゴミがたくさん出ただろうから大きめのゴミ箱を2つもってきました。2つのゴミ箱の使い分けの仕方を説明します。」
・紙ナプキンは左の箱へ
・クッキーのくずは左の箱へ
・ペットボトルは右の箱へ
・紙皿は左の箱へ……
生徒「要するに燃えるゴミは左で、燃えないゴミは右ってことでしょ?」
このように「燃えるゴミ」や「燃えないゴミ」という言葉が多種多様なゴミをまとめて分類するための言葉ということが分かります。
人間はどうやって賢くなったのか?
大昔のテレビがない時代の人は、様々な地域の人が「前日に夕焼けを見て晴れになった」という経験をしたとします。
たった1日の経験では何にも言うことはできませんが、別々の場所や日付で同じような体験をした人が多数いる場合、一般化して「夕焼けが出ると翌日は晴れになる」という1つの法則を導くことが出来ます。
このような多数の人の経験から法則を導き出す「経験則」というのが、具体(個々の経験や事象)を抽象(知恵や教訓)に変えていくことの典型的な例であると言えます。
「考える」ためのWhyとHow
手段と目的の関係は、「見えやすいものと見えにくいもの」「1つの目的に対して手段は複数あるという関係性」から、具体と抽象の関係の一種とみる事が出来るので、具体を抽象にする為の疑問詞がWhy、抽象を具体にする為の疑問詞がHowということも出来るでしょう。
5W1Hのうち、
When/Where/Who/What
Why/How
は明らかに性質が異なり、下の表のような違いになります。
穴埋め問題型の正解がある知識というのは、近い将来AIが代替していく事になるでしょう。つまり、これから相対的に重要性が上がっていくのはWhy/Howという疑問詞を使って抽象化や具体化という思考力を発揮することになっていきます。
「4W」だけで終わるのか、そこから「WhyとHow」を考えるのか、本書のテーマである「抽象化(Why)と具体化(How)による考えることの面白さ」はそこにあると言えるのです。
本を読むことの2つの意味
本を読むことの意味は、具体・抽象ピラミッドにおける「横方向」と「縦方向」を広げる事です。
「要領の良さ」は全体作戦に
この話をさらに発展させれば、将来「どこの国のどの学校に行くか(行かないのか)」「どのような職業に就くか、どの業界のどの会社に勤めるか」など応用も出来ます。
意外に「どの進路に進むのか」の大きな選択(どの国に住むのかなど)はあまり考えずに、他の人と同じ道を歩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
抽象レベルで考えることは、将来の人生設計を考えるような場面でも役に立つのです。
「いった」「いわない」はなぜ起きる?
上の図で示したように、「教室を片付ける」と「掃除道具をしまう」は文字通りの言葉としては違うかもしれません。
ただし、「掃除道具をしまう」は「教科書をしまう」「ロッカーを整頓する」とあわせて「教室を片付ける」ために具体的にすることの例になっています。
つまり、「教室を片付けて」という抽象の言葉の中には「掃除道具をしまう」ことも含まれている認識になる。
抽象こそ一生ものの宝
具体的というのは、だれにでも簡単にその価値を理解する事が出来るので、
「分かりやすく説明して下さい」というのは「すぐに食べれる魚を下さい」と同じです。
「釣り方を覚える」というのが「抽象的に考える」事に相当します。
釣り方を覚えるのと同じで、何でも一度取得してしまえば一生ものの能力になるのです。
大きな夢と小さな一歩
「大きいけどぼんやりしている」夢や理想(抽象)と「小さいけどはっきりしている」現実(具体)の関係性があります。
具体的な言葉だけで語っているのは、現実的で実現する可能性は高いけど小さい事で、大きな夢を追いかけるには、抽象的な言葉をあわせて使って語る必要があるのです。